シネマで死ねない

語ることについて語るときに僕の語ること

もしもし運命の人ですか?


ルーツCM坂口憲二 角田所長篇

運命の人の話をしようかと思う。ただの思い出語りである。

 

そいつと初めて会ったのは中学の入学式、同じクラスのやつだった。

 

入学記念の写真かなんかを撮るときにはもうかなり話してた記憶がある。だから最初っからなんとなく気が合っていたのだろう。

なぜだか2年生になってから全く話さなくなって、顔合わせても気まずそうに眼を逸らす様になって、まあこれが結果的に良かったというか。一部から「片腹痛子」とあだ名を付けられるくらい痛い子だったまりかーの最も痛かった頃をあまり見られなかったのが良かったんではないかと思ってます。

 

んで、高校になって2年連続同じクラスで、そのときに「なんでか今まで変に意識しちゃってお互い話し掛けられなかったよね」って。高1高2は共通の思い出がいっぱいできたかなーと思う。音楽の趣味とかもなんとなく合うし、こいつとは一生の付き合いになるかもしれないって思うようになってた。

受験期はクラスは違ってたけど毎日お互いのクラス通ってたし、そこらへんのカップルより一緒にいる時間長いんじゃねってよく笑ってた。自分がインフルエンザになったのに意地張って自習に残った帰りにコート貸してくれたことは忘れません。

でもまあ高校のときはそんなに「運命の人」だなんて思ってもなかったんだけど、あれは去年の夏、あーこの人が運命の人なのかーって確信した。自分でもなんかうけるけど。帰省途中に立ち寄った大阪・心斎橋にて、帰省中に会えるかなーと思って岡山の大学に通うそいつにメールした。ら、なんと大会で今大阪にいるよーと。えっまじか、自分も今心斎橋、案外近いかもなんて送ったら、なんとそいつなんばの体育館にいるとか。

まりかーかなりの乙女脳なので、なにこの運命的な感じ、とか一人で盛り上がってた。

そして昨日。帰省してて、でも誰と会うわけでもなく、狭い街なのに誰か知り合いに遭遇するでもなく過ごしてた。そういえば小学校の同級生なんて隣の隣の家に住んでいるのにここ10年くらい遭遇していない。暇を潰すために勉強なんかしたりするくらい暇で、親に着いていってフラメンコを見に行くことにした。場所は岡山にある銀行を改装したホール。そういえば高校の頃あいつとここにクラシック聴きに来たことあったなーとか考えながら、サングリアの列に並んでいたら、そこになんといるわけですよ、

「もしもし運命の人ですか?」

*ただし運命の人が異性とは限らない。