シネマで死ねない

語ることについて語るときに僕の語ること

最近観た映画をまとめた話

まさか自分がアメコミにハマるなんて思っていなかったのだけれど、というか寧ろ毛嫌いしていたのだけれど(前に『バットマン』借りてきたよーと言われて意味もなくキレたことがあるくらいだった)、知り合いに『アイアン・マン3』を奨められてその背景となるマーベル・シネマティック・ユニバースの話をされて(そしてその受け売りを会う人会う人に話したりもした)DVDでアイアン・マン1,2とハルクを観たらめっちゃハマッてしまった。あと『アベンジャーズ』を観たらMCUのフェイズ1が終わるので、そしたら『アイアンマン3』を観に行きたいです。誰か一緒に行こう。2週間くらい前まで「バットマンアベンジャーズじゃないんですか?」とか訳の分からないことを言ってたけど、今なら面倒なくらいそこそこ蘊蓄話せると思う。

因みにバットマンアベンジャーズでない理由は

 

 

D.C.コミックだから、アベンジャーズはMARVELの作品という初歩的な話らしい。『バットマン』トリロジークリストファー・ノーランの監督作品だから面白いと踏んでいる、まだ途中までしか観てないけど。

 


小さい頃から仮面ライダーとかスーパー戦隊とか好きだったからこういうヒーロものにハマるのも必然かなと思う。善悪がはっきりしているのって観るのが楽だし。最近観た邦画でも『藁の楯』より『図書館戦争』の方が好きってのはそれもあるかもしれない。
この二作品についての感想はたまたま観に行ったらしい親と完全に一致した。『藁の楯』はストーリーが意味不明、藤原竜也が素晴らしい、台詞がいちいち説教じみていてなんかアレ。『図書館戦争』は意外と良かった、アクションが特にいい。

前者は役者も期待度がかなり高かったし宣伝の煽り文句(ハリウッド級のエンターテイメント的な)のに踊らされてしまった感はある。でもそれにしてもなんかなー、藤原竜也の最後のシーンは蛇足すぎるし、彼を悪にするにしてもじゃあ何が善なのか、SP集団も善とは言いがたい、というか主人公たちに感情移入しづらい(これは三池監督作品の特徴だと思っている)のでなんかふわふわでした。良くも悪くも邦画らしい作品です。善悪がぱっとしない、セリフがメインになってなんかいいこと言ってる感。設定が大袈裟なので自分が好きなタイプのどうでもいいくだらない邦画、つまり大したことない日常の話をキャラ萌えで成り立たせて名言を吐かせる作品でもない。そのうちハリウッドとかでリメイクして、善悪のはっきりしたこってこてのアクション映画とかにしてほしい。藤原竜也の演技が好きな人にはお勧めするけど、それ以外の人はDVD出てから観ればいいと思う。

あ、なんかこれ書いてて思ったけど『スマグラー』もこんな感じでした。安藤政信の演技が好きな人にはお勧め、期待度がめちゃくちゃ高かった分何か残念。あとこれに関して言えば満島ひかりの無駄遣いという罪も入ってくるのだけれど。


図書館戦争』については「どうせジャニーズ映画だろ~」と期待していなかった分、めっちゃ良かった。今年に入ってから観た邦画(過去作品のDVDも含む)の中でも5位以内に入る。といっても今年に入ってから邦画10本くらいしか観てないし、『モテキ』と『桐島』と『おおかみこども』と『川の底から』は何回も観てしまうめっちゃ好きな作品だからそれ除くと実質1位なわけです。音楽がうるさい以外は否の付け所がないんですよ、これ。岡田准一は『SP』やってたこともあってアクションサマになっているし、榮倉奈々の長身から繰り出される大外刈とかも決まっているし(ただちょっと細身すぎるかな、現実的じゃないけど)他の役者もツンデレ栗山千明を筆頭にめっちゃ良かった。自分が邦画について評価するときって大抵は役者がいいとかばかりなんだけどこの作品はストーリー構成も良くて、原作がまず面白いんだろうけど、巧いこと映画にしてるなって思った。伊坂幸太郎湊かなえに並ぶくらい(アニメ化されていることを考えると彼ら以上かもしれない)最近メディアミックス化されている原作者、有川浩の作品。自分にとっては初めて触れる有川浩作品でした。先に挙げた2人については高校時代にめっちゃハマったのに、当時から周りで流行ってた有川浩についてはあまり興味が湧かなかった、井上が読んでたからかもしれない。

物語の舞台設定が非日常的なんだけど、それらの説明も冒頭でうまく処理しているし違和感なく見れます。説明の仕方はベタだけど、そこも後で活きてくるシーンだと思う。主役たちに感情移入した上で、悪の存在があって、それからアクションとかがあるので『藁の楯』よりこっちの方がよっぽどハリウッドっぽいと思った。ヒーローとヒロインがはっきりしているし。

 


邦画っぽいとかハリウッドっぽいとかって何かっていうのを、あくまで個人的な定義だけど、説明してみる。邦画っぽいというのはさっきも書いたけど[大したことない日常の話をキャラ萌えで成り立たせて名言を吐かせる]感じで、ハリウッドっぽいというのは[大袈裟でストーリー自体にアメリカを意識させるものがある]感じ。条件を羅列してみると、邦画については

1.ヒーローがいない
2.キャラに共感しやすい
3.日常っぽい
4.セリフが名言
5.役者のイメージと合う
6.「なんだか前向きになれました」

天然コケッコー』とか『リリィ・シュシュ』とか『腑抜けども』とか、毛色は違うけどそれらが代表的。邦画では所謂アクションはやってほしくない、戦ってはほしいけど。あと自分が好きな邦画についてだけ当てはまる条件として音楽がいい、というのがある。『モテキ』とか『川の底から』みたいなあからさまなやつもそうだし、『天コケ』とか『桐島』みたいな主題歌がいいのもあるけど。

 

ハリウッドぽい条件は
1.ヒーロー/ヒロイン(形はさまざま)がおり、それに伴って悪またはライバルがいる
2.キャラが圧倒的で憧れる/嫌悪出来る
3.ストーリーが急展開でド派手
4.セリフの言葉遊びがうまい
5.とりあえず"fuck"
6.アメリカ(またはコミュニティ)万歳

『アイアン・マン』『トランスフォーマー』とかみたいなアメコミとかはもちろん、『back to the future』だって『トイ・ストーリー』だってこれらに当てはまる。どうでもいいけどここに挙げた作品全部3部作ですね。トイ・ストーリーは4の噂あったけどデマだったらしいし。3部作は1が衝撃的面白さで、2でちょっと沈んで、3で成熟した面白さになる、の法則に当てはまる作品でもある。この法則の謎解き明かしたい。そして『アイアン・マン3』の面白さに早く触れたい、期待し過ぎかもしれないけど。でも評価高いし!!


挙げた条件を通じて最近観た作品を見てみると
1.ヒーローは全作品揃っている。リンカーンとかジャッキーコーガンとかオマラとかトニーメンデスとか。アメコミ作品はもちろんタイトルがそのままヒーローの名前だ。
ヒロインについては様々なんだけど、大まかに5つに分けられる。1つ目、『ジャッキーコーガン』についてはヒロインがいない。女が全く出てこない映画だった。この映画はストーリー構成重視ではなく、ブラピに萌え、バイオレンスに圧倒されるものなのでまあいいでしょう。自分としてはあまり好きではないけど、というか1回め寝落ちしたからって2回も観に行く映画ではなかったですね、はい。
2つ目は『リンカーン』については誰をヒーロー・ヒロインとするかに寄って変わるのだけれど、受難のヒロインを守るヒーローという感じ。『ハルク』もちょっとそういう傾向にあるけど4にも当てはまる。愛するヒロインのために戦いがある、という感じ。
3つ目は『アルゴ』『L.A.ギャングストーリー』『アイアン・マン1・2』は帰るべき場所としてのヒロイン。ヒロインの描かれ方とか出現頻度は作品ごとに異なる。アイアン・マンのペッパーについては次の4にも当てはまる。ヒロインは戦場にはいない。
これら2と3のヒロイン像が合わさった感じが古典的なヒロイン像だと思う。往々にしてヒーローの恋人又は妻。
4つ目は『アイアン・マン』のペッパーと『ハルク』のベティ。協力型ヒロイン。実践的には戦わないけれど、戦うヒーローを主体的な行動を持ってバックアップする。2人のヒーローに対する普段の態度が全然違うのは面白い。ヒロインは戦いの直接的な理由ではないけど戦場におりヒーローに守られる。
5つ目は『アイアン・マン2』のナタリー。直接戦う女。日本のアニメ作品においては女だけが戦う世界、は多いけど、ヒーローと一緒に戦う女ってあまり浮かばない。戦隊モノは5人っていうチームものだし、『ストロンガー』のタックルくらいかな。女が戦う世界というのは魔法少女モノとか『プリキュア』とか『シャナ』とか。これについてはまた他の機会に考えたい。ヒーローについては今までよく考えてはきたけど。
ハリウッドぽい条件に戻って2.圧倒的なキャラ。超人になってしまった天才科学者とか、天才的な機械オタクで自己中の鉄男とか天才的な殺し屋とか執念深いカリスマとか極悪のギャングの親玉とか。『アルゴ』はキャラは圧倒的ではなかったかも。
3.ストーリー構成の派手さ。クライマックスは戦いのシーン。そうじゃないハリウッド作品なんてあるのかと思うけど『ジャッキーコーガン』はそこをも裏切ってきた。
4.5.セリフについて。これは具体例あげづらいので割愛。自分は音声英語・字幕日本語派なのですが、字幕が巧いこと言葉遊び拾ってたりすると嬉しくなる。英語音声と英語字幕にして字幕のまとめの巧さを思い知るのも楽しい。
6.アメリカ万歳。『リンカーン』とかアメコミはまあ言わずもがな。『アルゴ』はCIA万歳。『ジャッキーコーガン』はなんでもビジネスというアメリカンスタイル万歳。これらは直接的で分かりやすい。
細かく見てきたけど(途中から雑になるのは自分の悪い癖だ)、ハリウッドとはアメリカにとっての”邦画”であり、日本らしさをアメリカらしさに置き換えると上の条件て実は一緒なのかもしれない。


以上を見てみると『ジャッキーコーガン』があまり好きではない理由はよく分かるのだけれど(あれは完全にブラピの映画)、『L.A.ギャングストーリー』がなぜ良くなかったのかイマイチ分からない。ストーリーが薄いからかなあとか主人公たちが多すぎるからかなあというくらいしか思い当たらない。ショーン・ペンはすっごく良かったというのに。

 

リンカーン』はダニエル・デイ=ルイスの映画だけどとても好きだし、泣けた。最近意図せず『There will be blood』観たのだけれど執着心の強い男が本当によく似合う。演技であることを忘れてしまって途中でハッとそれを思いだして泣きました。出る度アカデミー賞主演男優賞というのは半端ないけど役作り半端ないからっていうのはあるんだろうな。ちなみに今回のアカデミー賞主演女優賞を取ったジャニファーローレンスの『世界に一つのプレイブック』も観たときに泣いた。こっちは共感しすぎて泣いたのだけれど。

 

『アルゴ』は実は観るのは2回目だったけど2回目のほうが楽しめたし緊張感がより伝わってきた。1回目は飛行機映画を飛行機で観るといういい体験ではあったけど、そこまで評価してなかった。今回スクリーンで観て背景を理解して一気に好きになった。アカデミー賞作品賞が偶然にも2年連続映画の映画であることは面白い。毛色は違うしイギリス映画だけど『アーティスト』もヒーロー・ヒロインものです。

 

インクレディブル・ハルク』はなんかもっと苦悩を描いたヒューマンドラマでもいいかなーと思ったけど(それこそ初代仮面ライダーみたいな!)、以前それでコケたらしいのでアメリカではそういうの受け悪いのかなと思ったり。マッドサイエンティストの描かれ方が秀逸過ぎて、トニー・スタークも一歩間違えればこれだよなあと思った。ブルース・ウェインといいトニー・スタークといいアメコミヒーローは金持ばっかという印象があったけどブルースジリ貧だしそこはなんか嬉しかった。(但し天才物理学者である。)

 

そして『アイアン・マン』!!!とりあえずDVDのメニュー画面とかがやばかっこいい。トニー・スタークは天道総司のオタク版というかなんというか、天才で金持ちナルシスト。「おばあちゃんが言っていた」とか言い出しそうな勢いだし、「俺ってヒーローやってんですよ!」感が(これが『ストロンガー』除く昭和と平成の仮面ライダーの大きな違いだ!)ある。自己嫌悪も込めてオタク嫌いなんだけど、このかっこいいメカオタクは嫌いじゃない、本当にかっこいい。自分の発明で自分を助けるという要素もあるなーとか思ったりして、好きなポイントを突かれまくった。同じ藤子作品でも『ドラえもん』より『キテレツ』派(前者は親の方針もあって見たことない)だし。