シネマで死ねない

語ることについて語るときに僕の語ること

部活について思うこと

昨日中高の頃の部活の集まりがあった。

卒業してからこれまでも何度か集まりはあったのだけれど、今回は学年の幅も広く人数も多く、これまでよりも内輪感は少なかったかと思う。その分寂しくもあった。

 

夏休みくらいから中高の部活関連で集まったり芝居観に行ったりして考えたことつらつら。中高の部活っていうの違和感あるのでHESと書こう。中高一貫校で、その中でも珍しく中学生と高校生が一緒に活動をしていた演劇部・劇団HESの話。部活なのになぜ劇団なのかというと、一言でいうと顧問(主宰?創始者?ボス?)の意向なんだけど、要約すると「演劇部というと役者ばかりがフォーカスされるけど、芝居は裏方がいて表方があってそれで役者がいて成り立つものだから」らしい。実際自分も役者から音響から照明操作から演出から道具づくりまで全部携わっていた、人数少なかったし。つらぽよなことも多かったしいつも辞めたい辞めたいと思ってたけど、なんか辞めずに、というか辞めようとしたら全力で引き留めてくれる人がいたり、ということは引き留めたいとおもわれる人間に自分がなっていたりで辞めずに5年間続けてきた。求めるものは5年間ずっと一緒だった訳じゃないけど、いつも何かしらを与えてくれるものだった。卒業してからもどんどん変わっていくHESを観ていていろいろ気づきを与えられている。それをざっくり書こうかな。

 

 

1年目。ひたすら辛かった。やめたかった。でも後半くらいから先輩が好きで好きで仕方なくて、でもやめたくてそんな感じだった。同級生との仲も欺瞞と策略に満ちていた。

3人目の存在、という意味で与えられた音響という仕事になんとなく楽しさを覚える。

 

2年目。求めるものは経験。辛くてもキツくても経験値が得られることを是としていた。

この頃から自分のがむしゃらさを買われるようになり、2年の冬公演には実質主役を勝ち取った。演技なんてわけが分からなかったけど、エチュードとかは好きだった。先輩とかと普段からADごっこをしたり演技の練習を一番積んだ時期だと思う。歌やダンスはあまり好きではなかったけれど、ショーというものの面白さを何となく知る。

 

3年目。春公演、大好きだった先輩の代が卒業。ボスもなんとなく部活から遠ざかってしまう。音響の長的存在になる。このときから第二の顧問の部活となる。自分は彼とはあまり意見が合わなかったが、自分の稽古の雰囲気作りの巧さ、テンポの良さを買っていてくれたのでそれは嬉しかった。

夏公演、何となくかっこいいから、という理由とどうしてもおじいさんを演じたくないという理由から演出を始める。なんとなくかっこいいという理由で後輩にモテまくる。所謂サークルクラッシャー状態だった。演出というものはなかなか思い通りにいかないもので、というか顧問の台本がボスのものとは違って所謂高校演劇の劣化版だったのであまり楽しくなく、辞めたい辞めたいといつも思っていた。

冬公演、成井豊作品。とにかく楽しく楽しく作り上げる。

 

4年目。2個上の引退公演である春公演の演技に心底苦労する。泣きながら読み合わせをしたことも懐かしい。このとき初めてバックグラウンドがあって表現があるのだと考えて役作りを意識するようになる。そのために歴史小説を読んだりした。自分の役作りは原作者であるボスの意図とは少し違ったものだったらしいが、それなりに根拠に基づいた表現が出来ていたらしく割りと褒められる。演技とは感覚ではなく台本の行間やそれまでのストーリーを意識した上で出てくる感情の表出だと思うようになる。

秋公演、感情を表すことに躍起になる。中1以来いまいちだった先輩と同期の仲が最低になる。先輩にも同期にも後輩にもいい顔をする八方美人だったと思う。秋ごろ、後輩と危ない仲になり絶望という感覚に取り憑かれる。周りの助けと芝居にコミットしなきゃという使命感からなんとか立ち直る。

冬公演、芝居がポシャる経験をする。演出であったにも関わらずこの作品への思い入れはかなり低い。リハ後に主役の子の家で不幸があり、急にしかも勝手に代役を決定されやる気を失くす。

 

5年目。春公演、初めてオーディションで役を勝ち取る。そもそもは他の子への当て書きだったものを先輩きっての希望でオーディションにしてくれたものだった。役に憑依するという感覚を得る。芝居における個々の役の役割を意識するようになる。役がハマっていたためか「あれは素なの?」と後から聞かれたり、怖い人だと思われたりする。永遠の片想い相手と出会う。

夏公演、一生懸命さを知る。声が出なくなるくらい声を出し続けた。演出兼主役という俺様芝居を打つ。芝居を感覚や行間だけでなく鑑賞者を楽しませるにはどうしたらいいかというロジックから考えるようになる。楽しかったが精神的にはかなりキテいたようで周りの人を容赦なく攻撃して傷つけてしまった。役に関して言えば普段の生活から役作りを意識して、役と自分が歩み寄っていく感覚の面白さを体験する。今の自分は御剣かなめでありまりかーである。舞台上で楽しくて仕方なかったし、それを観ている人にも伝えられていたと自負している。この作品の脚本についてパクリ疑惑をかけられてボスは完全に部活から追放される。

 

6年目。春公演、自分の引退公演。自分はボスに脚本を頼みたかったが大人の事情から有耶無耶になってしまい、未だにボスにそのことをネチネチ言われたりする。周りへの思いやりと受験との兼ね合いで無難にこなす。ただ何しても最後のと冠がついてしまうこともあってめっちゃ泣いた。後輩教育という観点でも部活に取り組めたし後輩成長したなーってこともあってそれもあって泣いたりした。舞台上は全てショーであるべき、という自分の考えを具現化するために最適な曲と出会い、引退の挨拶までうまく出来たと思う。

 

そして卒業後。

自分が在籍して3年目以降はなんだかんだでKが中心で彼はボスへのコンプレックスがあったのかただの対抗意識なのかとってもとっても高校演劇ぽいことをしていました。

ボスは突拍子もないことするし、生徒に平気でセクハラまがいのコスプレ衣装強要するし、宝塚のレビューとかさせたりしてた。

っていうのがあったんだけど自分が卒業して2年くらいしてKが脳梗塞かなんかで倒れちゃって顧問続けられなくなってボスが舞い戻ってきたらしい。

その後のHESはというと芝居よりもショーに傾倒してる。ショーといってもAKBの。

 

 

そのショーの最初の曲がRESETなんですよ。なんかHES旗揚げ20週年というのもあるしもっかいやんぞ!っていう決意を感じるし

最近自分の母校自体が振るわないので、そこへ「風をおこ」そうぜ!っていう情熱も感じる。

後輩ちゃんの中にはダンスめっちゃ上手い子もいるし、お金貰う劇団に所属しているような子がいたりでエンターテイメントとして格段にレベルは高くなっていると思う。彼女たちがアイドルを演じているのも観ていて楽しいし、またボスの演出が粋なんですよね。お客さんにサイリウム配ったりコールやってもらったり。楽しそうで羨ましく懐かしくなってしまう。もう自分はあの舞台に立つことは出来ないけれど、あれだけ楽しんでいいんだよって言ってくれるような場にまたどこかで出会えたら、そんな場所を創れたらと考えるとわくわくすることこの上ない。